
100年の歴史を、未来へと繋ぐ
創業より約100年以上もの間、途絶えることなく、一流の家具を作り続けてきました。
良い時代にも厳しい時代にも、未曾有の事態に直面した難しい時代にも、人々の暮らしに寄り添う家具屋であり続けてきました。
私たち佐山製作所には、世界に誇る匠の技術と、細部までこだわり抜いた高い芸術性があります。
その可能性を深め、広げるとともに、職人たちのものづくりのこころを届け、次世代へと継承する。
100年企業として、日本に脈々と受け継がれる技術と洋家具文化を世界に向けて発信し、より良い未来へと繋げることが私たちの使命です。

椅子張りの本家・佐山流
佐山製作所の原点は明治44年(1911年)。栃木から職人になるために上京した佐山留造(さやま・とめぞう)が、「洋家具の街」芝地区にて椅子の「張り屋」を開始したことがすべてのはじまりです。留造は同郷の職人・職人志望の仲間たちを呼び寄せてひとつにまとめあげ、昭和7年には合資会社化し、後の佐山製作所の基礎を作りました。
その後、関東大震災や第2次世界大戦など激動の時代を経て、昭和20年(1945年)に佐山通泰が2代目に就任すると、昭和30年(1955年)には株式会社へと改組。西新宿や栃木に工場を建設し、会社の土台を固めて規模を拡大させます。
その過程で育った職人たちが暖簾分けする形で、「佐山流」と呼ぶべき、「椅子張り」のひとつの流派のようなものが形成されました。

業界随一の「佐山ネットワーク」
現在、佐山製作所を本家とする佐山流職人集団は全7社。椅子張りや修理を行う会社の他、
業務用椅子の資材を卸したり加工したりする会社も含み、佐山だけで材料の調達から、加工、製造、修理までが完結します。
佐山留造が東京・芝の地にて椅子の張り屋をはじめて100年を経た現在、佐山製作所は、業界随一のネットワークを持つ家具制作会社に成長しました。

西洋化の過程で生まれた職人技術「椅子張り」
椅子張りとは、椅子の座面や背面に布やレザーなどの張り地を張る・張り替える仕事のこと。
江戸の終わりから明治の初期にかけて西洋化が進む中、海外から持ち込まれた調度品の中に椅子が含まれており、それが広く使われ修理する職人が現れたことから、椅子張りが生まれました。最初の椅子張り職人は革と鋲を扱う馬具職人だったと言われています。
かつての家具制作は完全分業制で行われていたため、「張り屋」が椅子だけでなく壁やカーテンなど、布や革に関係する製品全般の「張り」を手がけていたこともありました。そうした中、椅子張りをやりながら壁張り、内装工事へと事業を広げていった職人もいます。
佐山製作所はまさにこの道を辿り、椅子だけでなく壁や床も張り、カーテンやじゅうたんも扱い、「部屋の中はすべておまかせください」というスタンスで、時代の変化とニーズに合わせて柔軟に事業を広げてきました。
椅子張りには「椅子張り技能資格」という国家資格も存在し、弊社には現在、木工・張替部門にそれぞれ1級技能士が在籍しています。

略歴
1911年(明治44年)
前会長佐山留造 現在地にて椅子の製造業を創業

初代 佐山 留造
1932年(昭和7年)
合資会社佐山製作所設立
1945年(昭和20年)
佐山通泰社長就任(2代目)

二代目 佐山 通泰
1952年(昭和27年)
受注家具製造を主業務とする
株式会社大恵製作所を新宿区西新宿に設立
1955年(昭和30年)
合資会社佐山製作所を株式会社に改組
1960年(昭和35年)
本社ビル設立
佐山商事株式会社を設立しビル賃貸業を開始
1961年(昭和36年)
株式会社大恵製作所を吸収合併
1963年(昭和38年)
栃木工場一期工事完了
1965年(昭和40年)
新宿区西新宿に新宿工場を設立
1967年(昭和42年)
栃木工場二期工事完了
1969年(昭和44年)
栃木工場三期工事完了
1974年(昭和49年)
新宿工場の業務を栃木工場に統合し、跡地に第二佐山ビルを建設オフィスビルとして賃貸する
1975年(昭和50年)
内装工事業務に本格参入し、工事部を設立
1980年(昭和55年)
佐山輝房 社長就任 (3代目)
1989年(平成元年)
大田区西蒲田にK.S.ビルディング建設
1990年(平成2年)
栃木工場敷地内に新工場を建設
2018年(平成30年)
本社建て替えにより新社屋完成
2019年(令和元年)
経営革新計画 を東京都から承認
2021年(令和3年)
佐山範恭 社長就任 (4代目)
一流の空間づくりに欠かせない存在として
昭和55年(1980年)に3代目に就任した佐山輝房(現会長)は、前任者が築いた会社の礎を堅実な経営で強化し、バブル経済崩壊や平成大不況にも揺るがない地盤を固めます。
そうして令和3年(2021年)、4代目に就任した佐山範恭は、国内の高級ホテルや海外の顧客などにも販路を広げます。前職で旅行会社に勤務し、その後アメリカ・ニューヨークでデザインを学び、ブルックリンの職人の元で修行した範恭は、それまで培ってきた語学力やネットワークを活かし、国内の最高級ホテルや外資系高級ホテルに次々と佐山製作所の家具を導入します。今や、東京の五つ星ホテルのうち、約半分のホテルで佐山製作所の家具が使われるようになりました。
他にも、各国の駐日大使館や米軍基地、最高裁判所といった格式の高さが求められる場所、都内の大型商業施設などにも佐山製作所の家具が使われています。佐山製作所は、一流の空間づくりに欠かせない存在です。

誠実な経営と最高の技術で、お客さまの「高級」を下支え
佐山製作所は、一流の職人たちが手作業で家具を作ります。機械では代替不可能な匠の技術を用い、時間をかけ、その手に情熱と真心を込めて、ていねいに仕上げます。そうして出来上がった家具は優れた芸術品のように美しく、耐久性も既製品とは比較になりません。私たちは技術によってお客さまの「高級さ」を支えます。
今後は海外製品の修理にもより力を入れ、海外の人たちが安心して日本に家具を持ち込める世界を目指します。あらゆる修理に対応し、椅子張りを時代に合った形でアップデートすることで、家具とともに繋いできた歴史や思い出を未来へと繋ぎ、新たなコミュニケーションが生まれるきっかけを作りたいのです。
佐山製作所の家具を使うことでより一層その場所が輝き、より良い時間を過ごせるように。
佐山製作所は、みなさまの過去と現在と未来に寄り添い、ゆたかな人生を過ごすためのお手伝いをします。

